佐藤日向、前田佳織里、富田美憂、小泉萌香ら[ライブレポート]9人の新生アミュボchが魅せた揺るぎない絆と未来への可能性
Pop'n'Roll 編集部
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アミューズに所属する女性声優によるYouTubeチャンネル「AMUSE VOICE ACTORS CHANNEL」発の有客イベント<AMUSE VOICE ACTORS CHANNEL FES 2023>が、3月4日(土)・5日(日)の2日間に渡ってLINE CUBE SHIBUYAにて開催された。本記事では、オフィシャルレポートをお届けする。
<AMUSE VOICE ACTORS CHANNEL FES 2023>LINE CUBE SHIBUYA(2023年3月4日・5日)
レインボーカラーの照明が客席とステージを彩るなか、スクリーンにはメンバーの紹介映像が1人ずつ映し出されていく。映像が変わるたび、呼応するかのように客席から声援が飛び交う様子に、改めて観客の“声出し”が解禁されたことを実感した。やがて、華やかなオープニングSEの終わりと同時に、9人全員が舞台に登場。幕開けは「Fine! Fine!」だ。AMUSE VOICE ACTORS CHANNELにとってアンセムとも言えるこの楽曲だが、みんなが聞き慣れた音源との違いは、昨年12月に新メンバーとして加わった和泉風花の歌声が入ったこと。和泉のソロパートやコーラス部分からは新鮮さが感じられ、新たなアミュボchの誕生をファンも楽しんでいるようだった。続いては、そのままステージに礒部花凜、前田佳織里、牧野由依の3人が残り、ライブ初披露となる「Lucky Me」へ。礒部がキュートながら広がりのある歌声を聞かせていくと、前田はパワフルな表現力でポジティブな歌詞を真っ直ぐに届けていく。そして牧野は優しく艷やかな声でオーディエンスを魅了するなど、三者三様のパフォーマンスで会場を盛り上げていった。
その後、再びメンバー全員が舞台上に集結すると、まずは1人ずつファンに挨拶を。イベント初参加となる和泉は緊張からか照れ笑いを浮かべつつ、“皆さんはじめまして! (会場が)すごく温かい雰囲気で包まれていて、皆さんの前でなら心から楽しめそうです!”と初々しく心境を吐露。一方、佐藤日向は“今日は配信がない日なので、世に出せない何かが起こるかも……”とちょっぴり悪い顔で笑みを浮かべる。また、富田美憂は“かわいい女の子がたくさんいるので、今日の私はカッコいい自分を出して頑張りたいと思います!”と話すなど、それぞれがこのイベントに込めた想いを伝えた。
ここからはメンバーが出演するアニメやゲームコンテンツにちなんだ楽曲を展開。軽快なイントロとともにスタートしたのは『おにぱん!』のテーマ曲「おにパパパン!パン!」。この曲を礒部、小泉萌香、佐藤、富田、船戸ゆり絵、前田、和泉の7人で歌い上げていく。歌の途中では、アニメでキャストを務めている前田(桃園桃役)と富田(一寸法子役)が指を重ねて「桃」マークを作るなど、出演者ならではのコンビネーションも見せ、観客を沸かせた。また、ミニ朗読劇を挟み、続いては「お願い!シンデレラ」(『THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS』)を。歌ったのは牧野(佐久間まゆ役)、富田(砂塚あきら役)の2人。本来は3つの属性グループで歌う曲をたった2人で披露するのはとってもレアだ。次に、佐藤と小泉が姿を見せると、それぞれが演じる星見純那役(佐藤)、大場なな役(小泉)の声で「Star Divine」(『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』)へ。のちのMCで判明したことだが、「Star Divine」を提案したのは小泉とのこと。その小泉も“久々にフルコーラスで歌えて楽しかった!”と喜びを爆発させた。会場の熱気はまだまだとどまることを知らない。間髪を入れず始まったのは『アサルトリリィ Last Bullet』の「Multicolored Flowers」だ。前田(今叶星役)、礒部(宮川高嶺役)、富田(定盛姫歌役)船戸(横田悠夏役)の4人がステージに現れると、目まぐるしく変化するフォーメーションのダンスを見せ、そこへ個性あふれる歌声を融合させながら、重厚感や可憐さなど楽曲が持ついくつもの表情を表現していった。
ミニ朗読劇の続編を披露したあとは、昨年リリースされた彼女たちの1stアルバム『FIRST CHANNEL』から田野アサミと礒部による「シアワセノハカリ」を。感情をコントロールするようにさまざまな想いを内包して歌う田野に対し、礒部は滑らかさと力強さを歌声に宿していく。タイプの異なる2人の声が溶け合う様子がはっきりと伝わってくるのは繊細さのあるバラードだからこそ。続いては佐藤と富田の「Here We Go Again」。流暢な英語でグルーヴを生み出す佐藤、そこへ時おり可憐な歌声を合わせていく富田。最高にクールな2人が、瞬く間に会場をダンスフロアへと変えていった。
後半は再びコンテンツ楽曲でスタート。まずは『けものフレンズ』の「ようこそジャパリパークへ メタルver.」で会場の熱気に火をつける。歌うのは「✕(ばってん)ジャパリ団」としてタスマニアデビル役を演じる小泉とオーストラリアデビル役の船戸だ。メタルバージョンのアレンジということもあり、観客への煽りもこれまでにないほどアグレッシブ。また、2人は唸るようなドラミングに負けない激しさを表現すると、ステージ上を縦横無尽に動き回っていく。その勢いをより加速させるかのように登場したのは、『ウマ娘 プリティーダービー』の「うまぴょい伝説」を歌う前田(ナイスネイチャ役)、礒部(ダイイチルビー役)、佐藤(ケイエスミラクル役)の3人。疾走感のある振付でさらにギアを上げ、爆発的な熱狂を作り出したこのシーンは、前半のハイライトだったと言える。
なお、こうしたコンテンツの楽曲を披露したのは1日目のみ。2日目はメンバーそれぞれが自身の楽曲やカバーを聞かせていった。そのトップバッターを飾ったのは富田が歌う「Broken Sky」。“いきなりでプレッシャーがありますけど、会場のボルテージを上げていきたいと思います”との言葉通り、緩やかなイントロに乗せて伸びやかでパワフルな歌声を響かせていく。また、サビが終わるたびに沸く歓声の多さが、彼女のパフォーマンス力の高さを物語る。続いては小泉がBUMP OF CHICKENの「カルマ」をカバー。歌詞に合わせ、業の感情を抑えるように歌う低い声が迫力を増し、さらに後半では気持ちを高ぶらせるように声に厚みを加えるなど、表現の幅広さを魅せていった。
礒部がカバーに選んだのは新妻聖子のバラード曲「愛をとめないで 〜Always Loving You〜」。静かながら壮大さのあるメロディを深みと愛のある声で歌い上げると、会場のすべてを包み込んでいくようなその圧巻の歌声に、息を吸うことすら忘れてしまいそうになる。そんな心地いい緊迫感のある雰囲気を一転させたのは佐藤。ポルノグラフィティの「サウダージ」という意外な選曲に驚かされたが、クラップで一体感を生み出し、リズミカルなサウンドに合わせて再び会場に熱をもたらしていくパフォーマンスに思わず納得。一方、キュートなステージを見せてくれたのは、からあげ姉妹の「1・2・3」をカバーした船戸だ。歌詞の世界を表現するかのように彼女自身も喜怒哀楽のさまざまな表情を見せ、「アミューズの空気清浄機」の通り名らしく(※前田佳織里命名)、元気いっぱいに癒やしの時間を届けていった。
後半戦は牧野由依の「Reset」から。彼女のイメージカラーである淡いブルーにピッタリ合った爽やかな楽曲が、会場を清涼感で満たしていく。また、青空のなかを浮遊するような歌声に、ひと足早く春のような心地よさを感じたファンも多かったことだろう。そしてラストは、来る3月15日にアーティストデビューをはたす前田佳織里が「光ったコインが示す方」を。どこまでも前向きな歌詞に芯のある歌声が最高にマッチしていく。フルサイズを披露するのは、なんとこの日が初。そうとは思えない堂々としたパフォーマンスに、歌唱後も熱い声援と拍手が鳴り止まない。その様子に、“こんなん泣いちゃう……”と照れ笑いしながらもこぼれる涙を拭い、アーティストデビューする喜び、そして楽曲の初披露をこの日のステージで届けることができた幸せをファンに伝えていった。
話を1日目のレポートへと戻す。「うまぴょい伝説」を歌い終え、メンバー同士でそれまでのコンテンツ楽曲の感想を語り合ったあとは、佐藤、船戸、前田の3人による「ビッグバン☆エモーション」を届けていく。恋する乙女の心をキュートに描いたこの曲。止まらない気持ちを全身で表現するかのように、3人もかわいく飛び跳ねながら歌い上げていく。続いて披露したのは「Weekday Dreamers」。CDでは田野が歌っているパートを和泉が担当し、小泉、富田、船戸の4人によるこの日限りのスペシャルカルテットが誕生した。さらに、小泉の“まだまだいけるか!?”との煽りで始まったのは「Master of light speed」。牧野と一緒にタオルを回し、同時に激しいヘッドバンギングで会場を揺らす。また、力強い2人の歌声はメタルアレンジの骨太なサウンドをも凌駕し、最高で最強のステージを生み出していった。そして本編のラストは全員で「Secret Promise」を。田野と牧野は顔を見合わせながら声を重ね、富田と前田は何度もハグを。9人それぞれが隣のメンバーと笑顔を向け合い、時にじゃれ合いながらハーモニーを響かせていく姿からは、彼女たちの強くて揺るぎない、そして愛情たっぷりの深い絆が感じられた。
アンコールではファンの声援に応えて再び9人がステージに登場し、まずはこの日の感想を。なかでもギリギリまで出演を悩んだという田野は、“こうして出られて本当に良かった。私に勇気とエネルギーをくれてありがとうございます!”とファンに感謝の言葉を届けた。そして最後にもう一度、全員で「Fine! Fine!」を。オープニングでこの曲を披露した時も笑顔に満ちあふれていたが、そこへ無事にイベントを終えられた安心感が加わったことで、よりハートフルなパフォーマンスへと変化したような印象を受ける。2時間半の公演でさらなる成長を遂げ、結束力を高めた9人。はたして、これからどんな未来を見せてくれるのか。今後の配信動画やイベントに大きな期待を寄せたくなる最高の一夜だった。
なお、2日目の公演の模様は3月12日(日)までLIVESHIPにて配信中。見逃した方も、当日現地に足を運んだ方も、より細かく表情やパフォーマンスが見られる配信でじっくりと9人のステージを楽しんでみてはいかがだろう。