新内眞衣[ゲネプロレポート]舞台<ON AIR~この音をキミに~>開幕! 「同じ笑顔で帰っていただけたら嬉しいです」

新内眞衣[ゲネプロレポート]舞台<ON AIR~この音をキミに~>開幕! 「同じ笑顔で帰っていただけたら嬉しいです」

Pop'n'Roll 編集部

Pop'n'Roll 編集部

2022.07.28
  • ポスト
  • シェア
  • ブックマーク

新内眞衣が出演する舞台<ON AIR~この音をキミに~>が、7月28日(木)に新国立劇場 小劇場にて初日を迎えた。2020年に上演を予定するもコロナ禍で全公演中止となった同舞台。本記事では、初日前に行なわれたゲネプロのオフィシャルレポートをお届けする。

<ON AIR~この音をキミに~>ゲネプロ

文:三浦真紀
撮影:宮川舞子

同舞台はなんとも気持ちが温かくなる、ヒューマンドラマだ。悪い人は出てこないし、登場人物がそれぞれ個性的で際立っている。今時には珍しいくらい人情たっぷりの群像劇と言えるだろう。

物語は大きなマイクを持ち、何かの音を録音する桜木真(室龍太)から始まる。音とラジオはこの作品の大きな柱。真は、生まれつきの視覚障がいを持つ妹の鈴(羽瀬川なぎ)に、自分があちらこちらで録音、収集した音を聴かせることで世界を伝えている。その設定だけでもウルっときてしまうが、真は風変わりで破天荒、図々しいくらい人との距離が近くて率直な男。実に憎めないキャラクターで、お試し移住で暮らし始めたほし観河町に、あっという間に溶け込んでいく。最初は少し失礼と感じていた町役場の谷山茜(新内眞衣)や高校生の上島明人(小西成弥)すら、いつしかお節介で行動力抜群の真に影響され、変化していくのが面白いところだ。

一見穏やかで自然豊かなこの小さな町にも世知辛い現実があり、住民たちはそれぞれ過去や事情を抱えている。真が働こうとしたFM局は潰れる寸前だったり、孤独で酒浸りな老人・吉田治(螢雪次朗)がいたり、複雑な親子関係や父娘のいざこざが起きたりと、“ああこういうことってあるよね”と身近な感じる人も多いはず。そこで真が音とラジオ、行動力という武器を使い、壊れかけた人間関係や大切な何かを繋いでいく。特に人と人の距離が遠くなりがちな今、真はある種のヒーローと言えるだろう。室龍太は真そのものといえるくらいのハマり役で熱演、新内眞衣の町役場で働くリアルな女性像も光っている。

ほっこりする話ばかりかと思いきや、後半にはシリアスなシーンもあり胸に迫る。それでも、真が録音したさまざまなの音、その臨場感は観る者をまるで旅したような気分にさせ、観劇後は清涼感たっぷり。毎日ラジオをかけて、「団六子のモーニングハイロック」を聴いたり、人のよさそうな町の人々と交流を深めながら、“こんな町に住むのも楽しそうだなぁ”と思わせてくれる。真が“音は脳の隅っこにある記憶を想い出させてくれる”と言っていたシーンでは、劇中の川のせせらぎ音を聴いていたら、ふいに子どもの頃、川の梁で魚を捕まえた記憶が蘇ってきた。

視覚ばかりに頼るのではなく、もっと耳をすませて生きるのも楽しいはずだ。普段、見えない、感じない大切なものをこの作品は教えてくれる。

コメント

宇田学(作・演出):
舞台を始めて25年。幕が開くことにこれほど感謝したことはありません。役者、スタッフがこの舞台をみなさまにお届けするため、最大限の努力をしてきました。幕が開き、無事に終えたら、僕は泣いてしまうかもしれません(笑)。

世の中、いいニュースばかりではないですが、しばし、そんなことも忘れて、この舞台を楽しんでください。<ONAIR~この音をキミに~>はそのタイトルの通り、ラジオが人と人を繋いでいきます。

この舞台がご来場くださるみなさまの心と繋がりますように。ご来場、お待ちしています。

室龍太(桜木真役):
こんにちは。室龍太です! お待たせしました! お待たせし過ぎたかもしれません!

2020年に上演予定だった作品を今日2022年7月28日に開幕します。約2年の時を経て、 みなさまにお届け出来できることを大変嬉しく思います!

脚本・演出の宇田学さんの心温まる作品。普段からラジオを聴いている方は、よりもっと愛していただき普段からあまり聴いてない方は、ぜひこの作品を観てラジオを愛していただきたいと思います!

大変厳しい世の中ではありますが、素敵なキャストさんスタッフさん素晴らしいカンパニーで力を合わせて楽しみながら誰1人欠けることなく最後まで突っ走って行きたいと思います!

新内眞衣(谷山茜役):
まずは、初日が無事に迎えられたことを本当に嬉しく思います。

少ない稽古期間でしたが、楽しくのびのびとした時間を過ごせて、とっても仲良くなれたし、カンパニーに流れるやさしい雰囲気が大好きになりました。

いつも心地の良い笑顔が溢れる稽古場をそのままお届けして、観に来てくださったみなさんも同じ笑顔で帰っていただけたら嬉しいです。

私の演じる谷山茜はいつも怒っている印象が強いけど、心は優しくて熱いものを持っている素敵な女性です。茜はパーソナルな部分があまり語られないので、観ていただいたみなさんに想像していただきたいですね!

あと、随所に“ふふふ”って笑えるシーンがあるのですが、個人的には自治会長の高橋夫妻の掛け合いが大好きですので、そこもぜひ注目してみてください!(笑)

次ページ