飯豊まりえ『Real Folder』Season2より(©MBS)

飯豊まりえ、密着取材ドキュメンタリー番組『Real Folder』Season2出演「ゴールを設定しないできたからここまで続けてこれたのかな」

Pop'n'Roll 編集部

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2022.06.22
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飯豊まりえが、動画配信サービス『Paravi』にて配信中の今の時代を牽引する若きスターたちに密着取材したドキュメンタリー番組『Real Folder』Season2の第4回に登場した。

飯豊まりえ『Real Folder』Season2より

配信レビューレポート

文:佳香(かこ)

ファッション雑誌『Oggi』の専属モデルをはじめとしたモデル業に加え、2012年からは女優としての活動も開始し映画にドラマと話題作への出演が続く飯豊。

さらにはナレーションにバラエティーのMCと、垣根を感じさせずにすっとその場に溶け込む彼女の姿がそこにはあった。密着中も終始気さくな様子が画面越しにひしひしと伝わってくる。そして、その彼女のオープンマインドさが現場中に伝播し充満して、そこら中に柔らかく心地いい空気が流れる。必ず身体ごと相手に向き合う彼女の謙虚さや誠実さが印象的だ。決して強引でも自己主張が強いわけでもないのに、気づけば周囲がその空気に巻き込まれ、惹きつけられていく、そんな不思議な引力の持ち主。そして周囲に、誰かにそっと華を添えてあげられる細やかさが光る。

飯豊まりえ『Real Folder』Season2より(©MBS)

彼女がモデルデビューのきっかけを掴んだファッション雑誌『ニコ☆プチ』のオーディションで審査員を務めていた当時の編集長・山元琢治も飯豊をグランプリに選んだ理由にその“愛嬌”を挙げる。そして“前に前にいく感じじゃないじゃないですか。でも周りのスタッフに愛されてるのがすごいわかるからいいなって”と彼女の魅力について語っていた。

意外なことに幼少期について、“子どもの頃は心の底から笑顔で自分の思ってることとか感情を表現できるタイプではなくって”と振り返った飯豊だが、その彼女が“人生が変わるかもしれない”と思って必死で臨んだのがこのオーディションだったと言い、恩人の山元が今でも自身の活躍を見ていてくれたことに“安心しちゃって”と涙する場面も。

気取らず自然体で、相手に緊張感を与えない。澄み渡る透明感があって、肩の力が抜けており背伸びしているようなところがない。繕っているようなところも、気負いもない彼女を目で追っているとなんだかこちらまで幸せな気持ちになってくる。そんな彼女の頭の片隅には母親からの言葉がずっとあるのだという。

飯豊まりえ『Real Folder』Season2より(©MBS)

“自分のキャラクターを作るのをやめといた方がいいよ、後々大変になるから。出るんだったら素の自分で出なさいって言われたことがあって”、“ナチュラルな素の自分でいこうと思ってます”、“その場所その場所で自分の居心地のいい居場所を作っていく”と話していたが、そのポリシーが彼女の多岐に渡る活動を無理なく支えているのかもしれない。

そして、そんな原点を大切にできるのも彼女の秘めたる強さの所以ではないだろうか。キャラクターを作り込まずに武装せず、あるがままで臨むということはある意味で逃げ場がなく、相当なタフさとしなやかな強さが求められることでもあるだろう。

かと思いきや、“表に出るのがすごい嫌になることがあるんですよね、怖いっていう感覚です。まったく考えない自分もいるけど、実は我に返ると「大丈夫かな」って思ってる感じです”と意外すぎる心情をこぼしたのは、ランウェイのトップを飾る<マイナビ東京ガールズコレクション 2022 SPRING/SUMMER>の控え室でのこと。ただ、その揺らぎや繊細さ、慎ましやかさとのせめぎ合いは自身を客観視できており、常に“挑戦”を掲げる彼女だからこそのことだろう。そして、またそれを乗り越えた先に見せてくれる表情や表現こそが、周囲を虜にする彼女自身の魅力にも繋がっていると思える。

“自然体であること”と“変化しない/成長しない”ことは全く意味が異なる。自分を偽らず自身の心の声に耳を済ませながらも、当然ながら常に己の可能性を磨き続ける鍛錬が求められる。その“変化”の方向性や、与えられた場所での咲き方について極力自分に嘘をつかず誤魔化さない形がとれるよう模索していかなければならない。その手探りの調整や折り合いは正解がなく孤独な作業でもあるのだろう。

ステージを終えた彼女は、“一歩ステージを出ると、ちょっと孤独な感じはあるんですけど、みんなでお祭りみたいなのを作っているエンターテイメントはなくなって欲しくないなと思いました”と、この大舞台でまた1つ孤独を乗り越え自身のステージをめいっぱい楽しめたようで、さらには自分が身を置く業界全体の未来への前向きな感想を抱くに至ったようだ。

最後に“自身の肩書き”について聞かれ、飯豊は答える。“何として見られても大丈夫です。ゴールは決めずに走ってきている気がします。ゴールを設定しないできたからここまで続けてこれたのかなって思います。たった15年しか経っていないので積み重ねていけたらいいなって思いますね”と。

それは、当初周囲から芸能界入りを反対されていた頃に彼女の中に芽生えた“「しょうがないよ」とか「絶対できないよ」とか(中略)そういう言葉を言われると、絶対っていうのはない!っていう性格で、より挑戦したいと思いました”の裏返しとも言えるのではないだろうか。確たる芯の部分と可動域広く対応できる軽やかさと柔軟さ、そのバランス感覚が抜群で絶妙だ。

飯豊まりえ『Real Folder』Season2より(©MBS)