吉岡里帆[イベントレポート]主演作への想いを語る「これからの人生にとってもお守りになるような作品になりました」映画『ハケンアニメ!』完成披露上映会イベントにて
Pop'n'Roll 編集部
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映画『ハケンアニメ!』が、本日4月14日(木)に丸の内TOEI①にて完成披露上映会イベントを開催した。同イベントには、吉岡里帆、中村倫也、尾野真千子、吉野耕平監督、原作者の辻村深月が登壇。本記事では、オフィシャルレポートをお届けする。
<映画『ハケンアニメ!』完成披露上映会イベント>丸の内TOEI①(2022年4月14日)
同作の主題歌ジェニーハイの「エクレール」が流れる中、観客たちの大きな拍手に包まれ、主演の吉岡里帆、共演の中村倫也、尾野真千子、吉野耕平監督がステージに登場。キャスト陣は、劇中でアニメの頂点“ハケン(覇権)”を争う2つのアニメ作品、『サウンドバック 奏の石』(通称『サバク』)と『運命戦線リデルライト』(通称『リデル』)のテーマカラーをイメージした衣装で登場。『サバク』を手掛ける新人アニメ監督・斎藤瞳役の吉岡は水色、『リデル』を手掛ける天才監督・王子千晴役の中村倫也、彼を支えるチーフプロデューサー・有科香屋子役の尾野真千子はピンクを取り入れた衣装を着こなしていた。吉岡は満員の客席に感激しながら、登場して早々に同作について“シンプルに自信作です!”と主演らしく堂々とコメント。“やっと観ていただけるのがとても嬉しいですし、必ずみなさんに刺さるんじゃないかと、丁寧に撮ってきました”と自信をのぞかせた。
監督やプロデューサー、声優や制作現場のスタッフをはじめ、アニメ作りを支えるたくさんの人々の姿や想いが描かれる同作。それぞれが演じた個性的なキャラクターとの共通点を聞かれると、新人アニメ監督の瞳役の吉岡は、作品作りへの熱い想いがあるものの周囲にウマく伝えられない瞳の不器用なキャラクター性を挙げ、“本当は燃えているんだけど、どこか冷めて見られたりとか、瞳と同世代なのでわかるなと思う”としみじみコメント。久々の新作で復活を図る伝説の天才わがままアニメ監督・王子を演じた中村は、吉野監督からのオファーにさかのぼって言及。『水曜日が消えた』の撮影の終盤に“中村さんにぴったりの役があるからオファーしていいですか”と言われ、原作を読み“めちゃくちゃカッコいい役じゃん! これが俺にぴったりなの?”と歓喜したことを明かし、仕事に対するスタンスや、シンプルで筋道が通った王子のキャラクターに共感していたことを語った。天才・王子に振り回されながらもその才能を守るために手を尽くすチーフプロデューサー・有科香屋子役の尾野は、“香屋子のような熱いところ”を共通点に挙げ、これに対し中村は“包容力があるところが似ている”、吉岡は“尾野さんはとにかく愛がある。好きです!”と突然の告白で、思わず尾野が照れ笑いを浮かべる場面も。
前作『水曜日が消えた』で長編監督デビューを果たした吉野監督は、“初監督”を務める立場の瞳に感情移入していたことを明かしながらも、“一方で僕はおじさんでもあるので、根岸(前野朋哉)や越谷(古館寛治)などの素敵なおじさんたちも大好きです!”と、劇中の“おじさんキャラ”たちへの確かな愛をアピールした。
お互いの印象の話題になると、吉岡はクランクインまで中村や尾野、柄本佑との共演に緊張していたことを明かしながら、“尊敬している大先輩たちなので畏怖の念があったけど、みなさん3枚目でびっくりしました! ずっと面白いこと言ってくださって、すごく楽しい現場でした。みなさん最高です!”と笑顔に。中村は、吉岡にあとから“この映画の現場では仲よくなれないと思った”と告げられたことを明かしながら、“それを言ってもらえるぐらい仲よくなりました!”と述べると、会場も爆笑。共演歴のある尾野には、撮影前から絶大なる信頼と安心感を抱いていたと言い、“この現場は「真千姉(ねえ)に甘えよう」と思っていた”と告白。尾野は“喜ばすねえ”と笑顔を見せた。対する尾野は、吉岡に真面目なイメージを抱いていたが、実際に共演すると、人懐っこく何度もグミを薦められ意外なギャップを感じたことを明かし、中村については“倫也くんは変わらない。ふわっとして優しいオーラの持ち主なのは前から感じていました。今回は私がどれだけいじっても、ずっと優しく笑ってくれていました”とコメント。普段いじられる側に回ることがないという中村は、思わず“いじられる側に回ることはそんなにないので、あなただけです!”とツッコミを入れ、共演者たちの仲のよさが伝わるやりとりに、会場も大盛り上がりとなった。
続いて、原作者の辻村深月が登壇。一足先に映画を鑑賞した辻村は、映画化について開口一番“幸せです!”と語り出し、“自分で書いたので物語は知っているのに、先がどうなるんだろうというドキドキがあって、原作で大事にしてほしいところを1つも削らず監督が表現してくださって、感謝を覚えました”と熱意たっぷりにコメント。また、原作者としてキャスト陣のハマり役っぷりについても興奮気味に語り、王子役の中村については、“映画化の話が来た時に中村さんが演じてくれたら嬉しいと伝えていて、王子役か決まった時に部屋で「やったー!」と叫んだ”と、念願叶ってのキャスティングだったことを明かした。尾野については、“香屋子は王子監督と作品を守る役柄。監督を信じて守ろうとする香屋子のキャラクターを演じ、表情ひとつで覚悟が伝わるシーンがたくさんあって嬉しかった”と、その演技を絶賛。瞳役の吉岡については、“最初は「吉岡里帆の映画を観るんだ」と思ったのに、開始2分で吉岡さんを忘れるぐらい、瞳だと思った”と言い、“私の描いた瞳が成長していく感じがあったし、瞳だからこその表情や演技をされていて、こんなに幸せなことがあっていいのか”と興奮気味に語った。対する吉岡は、“本当に感謝しかない。原作を読んでこの映画のお話をいただいた時、この仕事をしていて心が折れそうになる瞬間や悩んでいる時の解決方法を作品が教えてくれて、もっと自分のことを信じていいんだよと背中を押され、心がほぐれていく感じがしました”と、原作に救われていたことを口にした。“瞳を演じて、みんなで1本の映画を作る行為と、本編でのアニメを作る想いが完全に重なって、人に作品を観てもらえることの幸せを感じたし、好きなものがあればどんな状況でも頑張れると教えていただいたので、これからの人生にとってもお守りになるような作品になりました”として、改めて『ハケンアニメ!』が自身にとって大切な1本となっていることを告白。さらに辻村は、映画の“生みの親”である吉野監督に対して“映像化を「お願いする」よりも、スタッフの一員として迎えてくださり、一緒に映画作りをさせていただいた気持ちでいっぱいです。最高の形で映像にしてくださってありがとうございます!”と大絶賛とともに感謝の気持ちを語った。
映画にちなみ、ゲスト陣が“これだけは負けない! 「ハケン(覇権)」を取れる!”と思うものについてのトークへ。吉岡は、中村と尾野に“リップを塗りながらしゃべるのが上手”だと言われたことを明かし、“それならハケン(覇権)を取れるよとお墨付きをいただきました!”とコメント。中村は、“こういうイベントの最後に、テレビカメラに向かって手を振る時のスマイル。それでハケン(覇権)を取れるんじゃないかと!”と満面の笑みを見せた。尾野は“ビーフジャーキーを一袋食べる速度、1番速いと思います! すごくかたいですけど、秒速で食べられる”と意外な一面をのぞかせ会場を沸かせた。辻村は、“作家としての映像化に関する運のよさはハケン(覇権)取れると思います! この映画は完成までの道のりが長かったけど、最高の形で今年観られるのが嬉しいですし、ほかの作家さんにも羨ましがられるだろうなと思います”とコメントすると、会場から大きな拍手が沸き起こった。
イベントでは、残念ながら登壇することができなかった柄本佑から届いたビデオメッセージも上映。劇中では、吉岡演じる瞳を導く、作品を世に届けるためには手段を選ばない敏腕“クセ者”チーフプロデューサー・行城理を演じた柄本。同作の魅力について、“出演されている役者さんやキャラクターに、誰しもが経験あるかのように共感できる。そして、瞳さんと王子監督の熱量に、みんなが胸を熱くできる映画なんじゃないかと思っています”と語った。また、吉野監督について“まさかこの人がこの映画を撮ったの!?という監督のビジュアルと、この作品のギャップみたいなものも楽しんでいただければと思います!”と、強い信頼関係を感じさせる愛ある“イジり”を披露した。
最後に、主演の吉岡がファンへメッセージを送った。“今日来てくださったみなさん、ここいにるメンバー、そして作り手のスタッフのみんな……本当に好きなものを貫く愛で溢れています。そして、この作品にその想いを閉じ込めています。仕事や何かに一生懸命になったことがある方、挫折したり悩んだりしたことがある方、そのもう少し先の希望的メッセージが伝わるんじゃないかと信じています。みなさんにどうか刺さりますように、この映画をどうぞどうぞよろしくお願いいたします”と語り、さらに“この映画はぜひ、1番最後まで観ていただきたいです。エンドロールで流れる主題歌(ジェニーハイ「エクレール」)の歌詞もすごく素敵で、本当に素晴らしいラスト……最後まで観ていただけたらわかると思います!”と熱くコメントし、会場を盛り上げた。