【レポート】ブクガ、人見記念講堂から“浮上”していく<Solitude HOTEL 7F>
Pop'n'Roll 編集部
Pop'n'Roll 編集部
-
ポスト
-
シェア
-
ブックマーク
Maison book girlの春ツアーファイナル公演[ Solitude HOTEL 7F ]が4月14日(日)に昭和女子大学 人見記念講堂にて開催された。
昨年9月に最新アルバム『yume』をリリースし、それに合わせて<Solitude HOTEL 6F>を構成の異なる3公演で魅せたブクガ。その演出の前衛さからハコを変えるたびに違う趣を生み出している同シリーズだが、今回は4月3日発売の最新シングル「SOUP」をひっさげ、人見記念講堂の優れた音響性とホールの大きさを活かして魅せた。
ライブ冒頭、ステージ上部から垂れ降ろされた4本の捻れた赤い帯がライトアップで液体のようにうねりを作る中、「長い夜が明けて」でスタート。広大なステージでコンテンポラリーに舞うブクガの4人の姿には、こちらも息をひそめて見守ってしまうものがある。続いて「狭い物語」ではブクガの背後のスクリーンに、これまでにない巨大な赤い景色が前面に映る。4人の体のサイズに対して大きすぎる水槽のようなスケール感に、今までとは違う表現が生まれていた。
ステージの合間合間に登場する「首だけの鳥」も本公演の印象的な要素だ。ブクガの楽曲に登場するさまざまなフレーズを折り込みながら話しかけてくるこの語り部は、ブクガが背負ってきた世界観の独立性を感じさせる。
キャリアの中でも新しい曲から徐々に昔の楽曲へと遡っていくセットリストは、中盤で折り返して再び徐々に新しい楽曲へと浮上していく。それまでブクガの生み出す世界を眺めていただけのオーディエンスだったが、「bathroom」のイントロに入った瞬間、ホール全体から拍手が響き渡ったことで一気にライブの空気が変わった。美しい世界にオーディエンスが拍手で加わっていく緊張感が快い。ナンバーを重ねるごとに矢川葵も声をあげて煽っていく。
「おかえりさよなら」を経て、眠っていた少女たちが目覚める。本編ラストは「鯨工場」。イメージ投影はスクリーンをはみ出して周囲の壁面や天井近くまでわたり、楽曲ラストには観客席にまで押し寄せる大量のスチームが放出され、その消失とともにブクガのメンバーも跡形もなく消えている、という光景が広がった。
アンコールでは、海月の物語を綴るポエトリーリーディング「まんげつのよるに」。ポエトリーリーディングもブクガの世界が進むに連れ、徐々に巧みになってきている。ラストは再び「長い夜が明けて」で締めくくられ、終演後にはスクリーンでニューシングル発売とツアー開催の告知がなされた。
Maison book girlは今夏6月1日(土)北海道 を皮切りに全国9ヵ所にわたるライブハウスツアーを開催。ツアーファイナルは7月28日(日)の沖縄公演となっており、初めて訪れる土地が多いツアーだ。そして7月末にはニューシングル「そして宇宙の宿り(仮)」をリリースされる。
VJ / Planner: YAVAO
Video Editor (of “snow irony”): 羽賀優天
Liquid Lighting: ハラタアツシ
Laser: YAMAGE
Executive Director: としくに
写真: 稲垣謙一
次ページ
- 1
- 2