神宿 小山ひな[インタビュー後編]アイドルとしての7年、そしてその先へ「成長はしつつ、でも、可愛いはなくさないように」 神宿 小山ひなソロインタビュー2021後編
鈴木 健也
Pop'n'Roll Editor in Chief(編集長)
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神宿の小山ひなのインタビュー後編。“歌”をメインテーマにした前編に引き続き、今回は、昨今取り組んでいる「歌ってみた動画」や印象深かったレコーディング、神宿の最新アルバム『THE LIFE OF GIRLS』収録の初めて作詞を担当したソロ曲「を愛に」の制作秘話、さらに9月26日(日)に開催が迫ったぴあアリーナMMでの結成7周年記念ライブについて話を聞いた。アイドルとして7年間、“愛”と“可愛い”を追い求めてきた小山ひな。そんな彼女が、このインタビューの最後には、年齢を重ねることと可愛いことの両立についての持論を語る。
撮影:河邉有実莉
編集協力:村田誠二
病むことも大事ですね(笑)
──最近「ヴァンパイア」のカバー動画を公開しましたよね。いきなりとんでもないハイトーンを出していて、すごいなと思いました。
小山:
そうなんですよ。私、あんまり声が高い方じゃなくて、大変でした。基本的にボーカロイドのカバーは大変です。
──ブレス(息継ぎ)の場所とかないですしね。
小山:
(元曲は息継ぎもせず)一生歌ってる、どうしよう!?って(笑)。でも楽しいですよ。
──ボーカロイドを歌う時のコツとかあるんですか?
小山:
「ヴァンパイア」とか、1曲を1人で歌う時は飽きないように、しゃべってるっぽくしたり、普通に歌ったり、カワイ子ぶって歌ったりとか(笑)、歌い方をちょいちょい変えながら歌いましたね。
──小山さんは、それだけ歌の引き出しがあるってことですね。
小山:
神宿の7年間でいろんな曲をやってきたので、その中でできた引き出しだと思います。
──神宿は、初期の頃はハードな曲があったり情報量の多い曲があったりしましたけど、最近は逆に海外のトレンドを採り入れたりして、曲調がかなり幅広いですよね。
小山:
そうですね。いろんな歌い方にせざるを得な……かった(笑)。
──ほかのインタビューで、「FANTASTIC GIRL」では歌い方を変えたと言ってましたね。
小山:
“大人っぽい歌い方にしてください”って言われて。私、癖が強いから(笑)、それをなくそうなくそうと思って歌ったんですけど、不意に語尾が上がっちゃったりするから(笑)、難しかったですね。
──ディレクションを受けたら、その場で考えながら歌い方を変えていくんですか?
小山:
そうですね。基本的には自分の歌い方でレコーディングに挑むんですけど、その中で“こういう歌い方にしてください”っていうディレクションがあれば、その場で変えるという感じです。
──いきなりそんなこと言われても……みたいなことはないんですか? すぐに対応できる?
小山:
できる(笑)!
──やっぱり7年間の蓄積が。
小山:
いろいろあったんで(笑)。
──(笑)。今、振り返って、印象深かったレコーディングは?
小山:
「限界突破フィロソフィ」……だっけ? あれ、違うな……なんか、すごくしんどい時があって…………あ、「全身全霊ラプソディ」だ! あの時すごくしんどくて……心が(笑)。
──心が?
小山:
そう、心がしんどい日で、そのままレコーディングに挑んで。私、普段は可愛い系の声で歌ってたんですけど、「全身全霊~」はカッコいい曲だし、もうどうにでもなれ!って思いっきり歌っちゃったんですよ(笑)。したら、“すごくいいよ! ひなちゃん、どうしたの!? 大丈夫?”って言われて(笑)。“今日やっぱり、私、違いますよね?”って言ったんですけど(笑)、結局そのまま採用になって。でもいい感じになったので、あの日じゃなかったら、あの歌声では録れてなかったなって思います。
──でも、それがあったからこそ、新しい引き出しが増えたわけですよね?
小山:
そうですよね。病むことも大事ですね(笑)。
──(笑)。アーティストは病むことでまた表現の幅が広がったりしますから。
小山:
でも、つらいんですよ(笑)。
──神宿はポジティブなイメージがありますが、実際は葛藤することも当然あるわけで。
小山:
人なんで(笑)。
──それを経たからこそ、今できる表現もたくさんあるんじゃないですか?
小山:
そうですね。そういう表現をしていい曲もすごく増えたし。例えば「Erasor」とかは感情を爆発していい曲だから、ライブでたまに泣くし(笑)。泣いてるけどバレないようにして(笑)。ちょっと恥ずかしいから。
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