22/7[ライブレポート]第一章の集大成となる東名阪ツアーを完走! 「ファンの方々がずっとそばにいてくれたからだと思っています」
Pop'n'Roll 編集部
Pop'n'Roll 編集部
-
ポスト
-
シェア
-
ブックマーク
22/7が、7月22日(木・祝)に東京・Zepp DiverCity(TOKYO)にて<1stアルバム『11という名の永遠の素数』リリース Tour 2021 LIVE>の最終公演を開催した。デビューから4年半、満を持してリリースした1st アルバム『11という名の永遠の素数』は、5万枚以上の初週売上を記録し、オリコンウィークリー第2位を獲得。ソールドアウトした昼夜公演ともに全世界へ同時生配信され、ファンクラブ会員のみが視聴できる限定パートでは、特別な楽曲の披露も。本記事では、第一章を締めくくるとともに、新たな夢へと踏み出した夜公演のオフィシャルレポートをお届けする。
取材・文:キツカワトモ
写真提供:ソニー・ミュージックレーベルズ
<1stアルバム『11という名の永遠の素数』リリース Tour 2021 LIVE>最終公演(夜)東京・Zepp DiverCity(TOKYO)(2021年7月22日)
河瀬と高辻のいたいけな“うたうらら”コンビによる影ナレに続き、迫力のオープニング映像と「Overture」で高まっていく会場の熱。「ロマンスの積み木」のイントロを高らかに歌い上げる9人のシルエットを映す紗幕が扉のように左右へ開き、ペールグリーンの衣装をまとった彼女たちが姿を現した。
会場を埋め尽くす満天のペンライトに、メンバーのテンションも上昇。今ツアーは帆風千春の卒業を経た初ライブとなり、フォーメーションや歌割りも激的に変化。
「ムズイ」では、高辻が冷たいナイフがごとく肝に迫るセリフを放ちゾクッとさせ、「韋駄天娘」で新たに先頭に立ったのは白沢。冠番組『22/7計算中』などで負けず嫌いな一面が見られるだけに、メンバーを牽引する走りに期待が高まる。また、配信では「シャンプーの匂いがした」のターンとともにふわっと舞うスカートの花が天井アングルで映し出されるなど、ドラマチックな演出も見どころとなった。
昼公演とは異なる額出しのヘアスタイルで目を引いた白沢は、“今日(7月22日)は、ナナニジの日! 虹のようにキラキラした笑顔で終われるよう頑張ります”と微笑む。“お台場ーっ!”、“配信ーっ!”と、演じるキャラクターの戸田ジュンにも似た元気さで呼びかけるのは、海乃。天城は、体調不良により今ツアーを欠席している涼花も、毎公演、エールを送ってくれていることを明かし、“「毎日かわいい」萌ちゃんの分まで、可愛さを届けます!”と意気込んだ。
デビューから4年半の軌跡が詰まったアルバムには、新曲も盛りだくさん。終わっていく恋の行方を雨模様になぞらえたライブ定番の人気曲「Rain of lies」に続き、3組のユニットによる新曲を披露する。『蛍光灯再生計画』(河瀬・白沢・宮瀬)の「交換条件」は、前作よりさらにセクシーさに磨きがかかり、3人が腰や足を絡め合う“交換条件ポーズ”は、崇高な絵画のごとく美しい。
その一方、隣に並んだ2人が小指と小指を絡めることなくただ寄り添わせるという初々しさに満ちた『気の抜けたサイダー』(天城・西條)の「好きになるのは自由だし…」。もじもじとした“…”の中に譲らない想いを秘めたゴーイングマイウェイなメンバーらしい曲である。困り顔で両手の人差し指をつむじにのせた、ゆるふわなポーズには抗えないだろう。その可愛らしさをより強固なものとすべく、配信を観ている涼花に“早く一緒にステージに立とうね!”と呼びかけた。
「半チャーハン」で一世を風靡した『晴れた日のベンチ』(海乃・倉岡・高辻・武田)は、やはり食べ物が関係する「To goでよろしく!」。ステージ狭しと駆け回り、親指を立てたグッドの手振りで、好きな女の子と2人きりになりたい男の子のもどかしさを軽快に表現した。振り真似もしやすく、ツアーを通してファンと一緒に育てた曲となった。
ユニットソングの個性を集約して大爆発を起こすのは、「タチツテトパワー」。ユニークな歌詞とともに腕を左右に突き上げた彼女たちの笑顔は、昨今の自粛生活によるストレスも霧散させてくれる。さらに、イントロからヒーローソングのような熱さに鼓舞され、力強くもしなやかな振りがパワフルな新曲「空を飛んでみよう」。泥くさくもがくうち、いつか大空へ羽ばたくことができるかもしれない。そんな前向きさを与えてくれる曲に、メンバーの瞳も輝く。
今回、該当メンバー以外も冒頭で一緒にポーズを取るなど、ユニット曲での入れ替わりがシームレスに行なわれ、一編のドラマが感じられたことは、特筆すべき進化だった。また、途中、ステージ上の階段に2列になって座ってじゃれ合いながら歌われた「循環バス」も、まさに放課後の一場面を映し出し、新鮮な感動を与えたことも印象深い。加えて、MCで見られた天城、西條、宮瀬の“交換条件ポーズ”も、最終公演の貴重な一場面となっていた。
同ツアーでは、3曲が公演替わりで歌われた。カップリング曲より秘めた胸のうちを叫ぶ「ポニーテールは振り向かせない」。高く結んだポニーテールの武田の叫びには、夏空を思わせるせつない爽やかさがある。パンクゴシックをイメージしたユニット曲の「雷鳴のDelay」。倉岡の伸びやかに澄んだボーカルは激しい曲にも映える。「理解者」は、何度と無く歌われた表題曲ながら、自らにこぼすのではなく外向きに放たれるようになった西條、さらに河瀬の信念が伺える力強いセリフを核に新たな表情を見せた。
メンバー同士で火花を散らす姿に会場が沸き立つ「僕らの環境」。どこまでも純粋で嘘を嫌う彼女たちの戦いは、透明なからだに真実を映すビー玉とも重なる。そうした美徳ながらも生きづらさを凝縮して展開するのが、ライブで披露されることがほとんどなく、禁忌の名曲ともなっていた「とんぼの気持ち」だ。暗闇と無音の中、1つの集合体となってぬらぬらとからだを揺らす導入から引きずり込まれていく物語には、静と動をはらんだ“命”のパフォーマンスが待ち受ける。それぞれの生き様をともなって共鳴を呼ぶ、天城と西條のソロダンス。後奏では1人ひとりが楽曲を解したコンテンポラリーな表現を行ない、戦場と見まごう壮絶さを見せる。涙を流して震える高辻、膝をつき虚空を見つめる宮瀬。その“生きることの意味”を自身に問いかける戦いは「何もしてあげられない」へと続いた。普段は穏やかな印象のある海乃のクールで高潔な佇まいにも目を奪われる。
“4年半、嬉しいことも、つらいこともいっぱいあって、全部が全部、綺麗な想い出だけじゃなかったけど、今日、ここでメンバーと、配信を観てくれている萌ちゃんと一緒に楽しく第一章を終えることができるのは、ファンの方々がずっとそばにいてくれたからだと思っています。まだまだ私たちは22/7としてみなさんと見たい景色、叶えたい夢がたくさんあるので、この先も応援よろしくお願いします!”と、心からの想いとともに涙をこぼした天城。
続く西條も、ツアーの始まりに“埋めなきゃいけない場所”と“空けておきたい場所”があると話したことを振り返り、“セリフもソロパートも苦手だったけど、大好きな人のパートを任せてもらえたのだと思って、そこは特に頑張りました。ウマくできたかはわからないのですが、見届けてくれてありがとうございました”と、優しさと強さを感じさせる想いを伝えた。
そして、“今の22/7にとって必要な曲であり、みなさんに届けなければいけない曲だと思います。大切な人を想いながら歌うので、みなさんも大切な人を想いながら聴いてください”という白沢の言葉がすべてを物語っていたアルバムのリード曲「ヒヤシンス」。サビがメンバーそれぞれの個性を感じるセリフで構成された前衛的な楽曲は、群像劇のようなパフォーマンスを強みとする22/7のたどり着いた究極の形だ。両手のひらで作ったつぼみを開かせる振りが、1stシングル「僕は存在していなかった」を彷彿とさせながら第一章を結んでいく。その花は、涙とぬくもりによって、美しく咲いた。
ツアーTシャツに着替えてのアンコール1曲目「風は吹いてるか?」。メンバーの手首には過去の衣装をモチーフとしたラバーバンドが巻かれ、これまでの軌跡とともに水色の力強い風を巻き起こす。さらに客席の熱いクラップにあおられ、風は渦を巻く。ラストナンバーは「未来があるから」だった。“過去はやり直せるか?”、複雑にせめぎ合う想いを抱きながら、それでも彼女たちは“今”を選ぶだろう。そんな1つの答えすらも感じられる、真っ直ぐなまなざしに胸を打たれた。
“以上、22/7でした!”と鳴り止まない拍手の中で深々と頭を下げた9人は、万感の表情で会場中を見渡す。
この後、ファンクラブ会員限定パートも配信された。
「ナナニジメンバーに聞く!一問一答」と題された映像で、グループの次なる目標を聞かれたメンバーたちが口にした夢の大きさ、また、ステージ上で個々に語られたツアーを振り返っての想いは、第二章の扉からもれる光のごとく、希望に満ちたものだった。繊細な感情をつまびきながらも2時間半にわたって歌い踊ったメンバーのタフネスにも驚かされたが、さらに、ここでもう1曲披露するという限定配信初の試みも。
昼公演は、本編でパフォーマンスされていなかった唯一の表題曲「僕が持ってるものなら」。そして、夜公演はこれからの22/7を表現した「空のエメラルド」。念願の大阪、名古屋公演を含む全5公演を経て、さらに堅い絆で結ばれた彼女たちのパフォーマンスは、深い夜を超えて昇る太陽のごとく、新たな物語の始まりに輝いた。
“永遠”があるとするのなら、それは“信じる気持ち”と“愛おしさ”で編まれていく瞬間、瞬間に生まれる無限の可能性のことなのかもしれない。果てのない円周率の近似値を冠した彼女たちの証明は、この先も続く。