奥仲麻琴[インタビュー]ありのままの自分と向き合った表現者としての境地「新しい自分を追求して見てもらうことが、このお仕事の大事な部分でもある」 奥仲麻琴 2021年春インタビュー
鈴木 健也
Pop'n'Roll Editor in Chief(編集長)
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今年2月より放送のTVドラマ『ももいろ あんずいろ さくらいろ』や、4月15日(木)より上演が決定している<「ROAD59 -新時代任侠特区-」摩天楼ヨザクラ抗争>への出演など、女優として精力的な活動を行なっている奥仲麻琴。表現力にさらなる磨きをかけている奥仲が、同じプラチナムプロダクションに所属する鈴木ゆうか、大石絵理、都丸紗也華ら11名とともに新アパレルブランド『KOL(ケーオーエル)』のディレクターに就任し、第1弾コレクションを発表した。今回、さまざまなフィールドで活躍中の奥仲にインタビューを実施。女優としての近況やアパレルプロデュースについて語ってもらった。
奥仲麻琴
編集協力:村田誠二
自分が感じたものを表現しないといけない
──まずは近況を教えてください。最近の話題としては、なんといっても急遽出演(※編注)が決まったTVドラマ『ももいろ あんずいろ さくらいろ』だと思いますが、撮影に入る前はどういう心境でしたか?
奥仲:
撮影に入る3日前に台本をいただいたんです(笑)。絡みのシーンも多かったりするのですが、心の準備すらあまりできていないまま撮影は始まっちゃって、“もうやるしかない!”って(笑)。監督からは“ノリで楽しくやって”って言われたので、最初から楽しく撮影に参加していました。
※編注:同作の主演の川上杏役は、当初、筧美和子が務めることになっていたが、筧が新型コロナウイルスの濃厚接触者にあたるという医師からの指摘を受けて、出演が見合わせに。その代役として奥仲が杏役を演じることになった。
──今回、役作りはどうやって?
奥仲:
今回、杏ちゃんを演じていても自分と近しいものがけっこうあったので、役をガチガチに作ったということはまったくなくて。
──自分よりも他人を大事にしてしまうところとか。
奥仲:
そうなんです。けっこうリンクするところがあったので演じやすくて、そういう意味での違和感とかはなかったんですよ。
──昔の話になりますが、PASSPO☆時代も自分よりもメンバーを大事にしてしまうところがあったりしましたか?
奥仲:
ホントにそうでした~。なかなか自分の意見を言えない性格で、内に秘めることがけっこう多くて。でもドラマでは、杏ちゃんは有香(鈴木ゆうかが演じる主人公の親友・根岸有香)に対して自分を優先したんですよね。6話しかないんですけど、今回は杏ちゃんの成長がすごく感じられるストーリーで、そこをウマく表現したいなとは最初から思っていました。
──演じながらキャラクターを成長させるポイントが見えてくるものなんですね。
奥仲:
でも、撮影が2週間で(笑)、1日の撮り分が多いから、たまにどのシーンを撮ってるのかわからなくなるんですよ(笑)。1話を撮ったと思ったら、次はもうエンディングを撮るとか、シーンがけっこうバラバラなので、現場に行って自分で頭の中を整理してやっていくしかなくて(笑)。でも、酒見(顕守)さんという監督さんが、すごくコメディちっくに面白く撮ってくださったので、演じていて楽しかったですね。お話自体はけっこうドロドロしているんですけど(笑)、どこかクスッってなるようなポイントが入っていて、ウマく中和されているので観やすいんじゃないかなと思います。
──そのドラマがあり、4月からは舞台<「ROAD59 -新時代任侠特区-」摩天楼ヨザクラ抗争>が始まりますが、こちらは“隻眼のシスター、マリア・ベルナール”という、まったく違う役どころになりましたね。
奥仲:
まったく違いますよね。舞台では、蒼井翔太さんが演じるベネディクト(・ロレンツォ・ヴァザーリ)がリーダーの“PHOENIX(フェニックス)”というマフィア組織の一員で、今回、蒼井さんと初めてお芝居をご一緒させていただいたんですけど、この作品では声優さんとしても活躍されている方も多く参加されているので、自分とはまったく違う新しい世界ですごく面白いんですよ。マリアの衣裳も、隻眼なので眼帯していたりとか……。
──だから、眼帯の下はアイメイクしないんですよね。YouTube配信、観ましたよ。
奥仲:
ああ、観てくださったんですね! <ROAD59>は秘密がめちゃめちゃ隠されていて、私もまだ知らないんですけど(笑)、この舞台自体、どんどん続いていくものだと思うので、私が演じる役もどんどん秘密が明らかになっていくと思います。とにかく本読み(リハーサル)からめちゃくちゃレジェンドの京本政樹さんもいらして、もう声の発し方から存在感からまったく違って、現場では本当にいろいろと学ばせてもらってます。
──よく、ドラマでは抑え目にして、舞台では逆に声を張ったり大袈裟に演技をすると聞くんですけど、そういうものなんですか?
奥仲:
(ドラマと舞台は)真逆だと思います。ドラマだとリアルに演じないといけないから、大声を出して話していたら違和感がありますが、舞台だと日常のようにしゃべったらセリフが観客に聞こえないじゃないですか。だから、舞台は表現を大きくしないといけないし、ドラマはよりリアルを突き詰めなきゃいけない。そういう真逆のものを同時進行でやっているので、すごく戸惑ってます(笑)。
──そうなんですね(笑)。先ほど声優さんが周りにたくさんいるとおっしゃいましたが、声優さんの演技ってやはり独特ですか?
奥仲:
めちゃめちゃすごいと思います。だって普段からアニメを観ていても、声だけで人を泣かせるお芝居をするって並大抵のことじゃないと思うし、いろんな役を演じ分けているのもすごいですよね。たまに“この声優さん、この作品に出てたんだ!”って、クレジットを見て気づくことがあって。その演じ分けはやっぱりスペシャリストという感じがしますし、自分にはまだまだ遠いなって本当に思いますね。
──でも、そこからいろんなインプットがあるわけですよね。
奥仲:
あります。今回この舞台をやっていて思ったのは、私は、声優さんもやってみたいけれども、声優さんではなく俳優として舞台に立たせていただいているので、やっぱり声優さんの演技ではなく、自分が感じたものを表現しないといけないなって。声優さんは声優さんですごいし、それに負けないくらいじゃなきゃいけないっていう想いもあるけど、“声優さん”ってことを意識すること自体、やめようと思ってやってます。
──それはリハーサルを重ねていって気づいたことですか?
奥仲:
そうですね。でも、先月もドラマを撮っていて、今回も俳優として“お芝居”をしに行っているので、“何になろう”とか“こうならなきゃいけない”というような型にハマる方が逆に怖くて、今は自由にできればいいなって思ってやってます。
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