三吉彩花[イベントレポート]映画『十二単衣を着た悪魔』への熱い想いを吐露「いろんな方にこの役でしっかりと恩返しができた実感が沸きました」
Pop'n'Roll 編集部
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映画『十二単衣を着た悪魔』の公開記念舞台挨拶が、11月7日に新宿ピカデリー シアター1にて開催された。同作は脚本家・小説家の内館牧子が、『源氏物語』を題材に、奔放で強い女性によって成長していく青年の姿を描いた長編小説『十二単衣を着た悪魔 源氏物語異聞』を元に実写化したもので、11月6日より新宿ピカデリーほかで全国公開中。公開記念舞台挨拶には三吉彩花、村井良大、笹野高史、黒木瞳監督が登壇。MCは笠井信輔が務めた。本記事ではこのイベントのオフィシャルレポートをお届けする。
昨日11月6日に公開初日を迎え、SNS上でも“おもしろかった!!”、“公開おめでとう”の声が多数つぶかれる中、本日11月7日の舞台挨拶は、コロナの影響を吹き飛ばすかのように、全席に観客を入れて実施。満席の客席を見るや、キャスト、監督は満面の笑顔になり、大きな拍手に迎えられステージへ登場した。
黒木監督:
昨日11月6日に『十二単衣を着た悪魔』初日を迎えました。昨日本作品を観ていただいた全国のみなさま、そして本日もご覧いただきましたみなさまにも本当にありがとうございます。感謝申し上げます。笠井さんも仰っていただいたように、女性だけではなく、男性にも共感いただけると知り、とても嬉しく思います。1985年に宝塚を卒業し、翌1986年に出演した映画『化身』で出会った東陽一監督に、“映画というのは僕1人だけで作り上げるものではないんだよ。キャスト、スタッフ全員の力で作り上げる総合芸術なんだ”と教わりました。今回もスタッフ、出演者のみなさんに支えられて完成させることができました。映画はお客様が育ててくださるものです。ですので、本日は映画をご覧いただき本当にありがとうございました。
MC:
女優の楽しみと、監督としての面白さ、全く違う魅力に取りつかれてきているのでは?
黒木監督:
はい。見える景色が全く違いますので、女優の時はスタッフのみなさまに感謝しかございませんし、監督の時は出演者のみなさまに感謝しかございませんし、こうやって40年間エンターテインメントの世界にいますが、多くの方に支えられてきたからこそ、今ここにいるんだなと実感しています。
MC:
女優と監督どちらが好きですか?
黒木監督:
(笑いながら)答えないといけないですか? どちらも魅力的です。
三吉:
初日を迎えることができて本当に嬉しく思います。足を運んでくださったみなさま本当にありがとうございます。弘徽殿女御という役は、黒木監督始め、1人ひとりのキャストの方、スタッフの方々にたくさんの愛をいただいて、その愛をスクリーンで役を通じてお返しできたのではないかと思います。
村井:
バイトリーダーの木村を演じました村井です。本日はこんなにたくさんのお客さまに観ていただき、嬉しく思っています。
笹野:
ようこそお越しくださいました。ありがとうございます。面白かったでしょうか? (大きな拍手を受け)それはなによりでございます。携帯電話の味のご報告をいたします。仄かにしょっぱかったです。ご近所の方々に吹聴いただき、宣伝していただけると嬉しいです。
MC:
監督。携帯はちゃんと拭いてあったのでしょうか?
黒木監督:
ちゃんと拭きました(笑)。
MC:
監督に質問です。内館牧子さんの原作を映画にしたいと思った動機は?
黒木監督:
女性ですので、弘徽殿女御様のセリフの数々。自分の意思を通す強い生き方に感銘を受けましたし、内館先生が、『源氏物語』にあまり書かれていない弘徽殿女御は、こういう女性だったのではと高校時代に思われたそうで、それだけでもすごい想像力だなと思いますが、『源氏物語異聞』として想像された『源氏物語』の中で、弘徽殿女御はじめ、輝いている人々に影響を受けて成長する雷ちゃんの物語に惹かれました。
MC:
三吉さんの弘徽殿女御が本当に魅力的でした。現代のキャリアウーマンに通じる、芯の強さとか姿勢を持っていて、1000年早く生まれてきてしまったのではと思ってしまう程の魅力を感じましたが、演じるにあたって苦労したところはありますか?
三吉:
年齢を20年近く重ねるので、今回のような役を演じさせていただくのは初めて。十二単衣の柄や白髪混じりなどの見た目もそうなんですが、お芝居の中でも、段々と年齢を重ねて、母としての優しさであったりだとか、1つひとつのセリフのすごみや説得力をどう出すかとか、年齢を重ねるごとに工夫していくという部分を監督と相談しながら作りました。黒木監督からの指導がなければ、私はこの役をどう演じたんだろうと思います。セリフの滑らかさ、強さとか音で表現してくださって、発声など基礎的な部分から親身になって教えていただきました。
MC:
監督、三吉さんの弘徽殿女御はいかがだったでしょうか?
黒木監督:
素晴らしかったです。悪魔というのは、私の考えでは、凡人にはまねできない英知を備えた心の強い人だと私は捉えていたので、(弘徽殿女御というのは)こういう人なんだと三吉さんに伝えました。あとは芝居の仕方や、女優として理解している細かい部分をアドバイスさせていただきましたね。
MC:
三吉さん、弘徽殿女御には数々の名セリフがありましたが、ご自身が1番気に入っているセリフはどれですか?
三吉:
たくさん共感するセリフがありましたが、中でも撮影当時にマネージャーさんが“「やれることも、やれぬこともやって私は生きる」というセリフを言わせたいんです”という気持ちを黒木監督にぶつけてくださったと後から聞きまして。そのセリフを言い終えた時に、マネージャーや黒木監督にもそうですが、いろんな方にこの役でしっかりと恩返しができた実感が沸きました。なので、そのセリフが1番心に残っています。
MC:
笹野さんが演じられた良喬の年齢が39歳というシーンでしたが、あれは笹野さんのアドリブですか?
笹野:
いいえ、そんな失礼な、僭越なことはいたしません! 台本の通りです。私の特技は年齢幅をたくさん演じられる、説得力があるというものですから。39歳の役柄のオファーを受けて当然だと思いました。
キャスト・監督一同:
爆笑
黒木監督:
この物語を映画にするって決めた時から、良喬の役は、何も決まっていないのに笹野さんに決めていました。
笹野:
とても嬉しいです!
MC:
村井さんはお2人と違って現代パートの出演でしたね。そして活舌の悪い責任者役のEXITの兼近大樹さんとのシーンはとてもコミカルでしたが、演じられていてどうでしたか?
村井:
現代の時代からタイムスリップをするシーンでは僕もリアルにその雰囲気を感じていましたし、現代に戻るシーンでは、僕自身すごく寂しさを感じてしまって、もっといろんな人の生きざまを見ていたかったなと思いました。
MC:
現代シーンでは、兼近さんと共演していますが、初映画出演の彼の印象はどうでしたか?
村井:
とても礼儀正しく現場に臨まれていて。ほぼ初日で最初のシーンを撮ったんですが、監督が“活舌の悪い責任者を演じてください”と仰って、1カット目からボケてくるっていうのがすごく面白くて、この映画どうなっていくんだろう?と楽しかったです。兼近さんはすごくリラックスされていたんですが、映像作品は初出演なので、撮影現場の用語が分からなかったみたいで、僕に“次なんですか?”って聞いてきてたんですよ。活舌も現場でも補助をしていました。
黒木監督:
冒頭の『源氏物語』の登場人物名をサラッと言われると観客の印象に残りにくいので、活舌の悪い役でお願いしますとお願いしましたところ、ものすごく練習してきてくださったんです。りんたろうさんが出てないのには理由はございません。
MC:
映画監督としての黒木監督の印象は?
三吉:
本当に素晴らしい監督です。お世辞ではなく。弘徽殿女御という役で、撮影前からマンツーマンでずっと指導していただいていましたので、現場に入ってもいい意味で空気感が変わらなかった。最初、お会いした際はピシッとしないといけないなと思って背筋を正してお会いしたのですが、監督がカジュアルに迎えてくださったので。撮影の合間に他愛もないお話をさせてもらい、美味しいごはんや、お酒のお話をしてくださって、またご飯にも連れていってくださって、お母さんのような、お姉さんのような感覚で一緒にいさせていただきました。
村井:
黒木瞳監督だと、現場が非常に明るくなるのと、男性スタッフのやる気がすごい。すごいんですよ、物運ぶときとか! キラキラしてて、エネルギッシュでした。それで、僕らもエネルギーをもらうし、この現場は温かくて楽しそうって思ってました。
笹野:
私、女性監督の元でしか仕事をしないようにしようかと思いました。(村井さんが)おっしゃったように女性監督の現場は非常に柔らかいんですよ。現場では“バカヤロー”などの怒号もなく……国の長も女性の方がいいのではないかと思うぐらい。いい芝居に繋がるんですよ、女性監督、私好きですね~。これから事務所と話し合って、女性監督のみお受けするようにと言おうかと思っています。