本西彩希帆(劇団4ドル50セント)[インタビュー]2.5次元舞台に出演し続けられる秘訣とは?「“愛を語りに来たんです”という気持ちで面接に臨んでいました」

本西彩希帆(劇団4ドル50セント)[インタビュー]2.5次元舞台に出演し続けられる秘訣とは?「“愛を語りに来たんです”という気持ちで面接に臨んでいました」

Pop'n'Roll 編集部

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2020.09.05
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本西彩希帆(劇団4ドル50セント)が、本日9月5日より上演される舞台<ゾンビランドサガ stage de ドーン!>で主演を務める。<薄桜鬼>、<家庭教師ヒットマンREBORN!>、<けものフレンズ>など、数々の2.5次元の作品に出演してきた本西。なぜ彼女は2.5次元を愛し、そして数々の作品に出演することができたのか? 本記事では、その答えに迫る本西のインタビューをお届けしよう。

ーー本西さんは、これまでに自身でも夢と語っていた<薄桜鬼>シリーズを始め、数々の2.5次元の作品に出演してこられていますが、オーディションに臨む時に何か特別なことをしていたりするんですか?

本西彩希帆:
原作があるものは、作品もキャラクターもとにかく研究するのですが、それはきっとオーディションを受ける人全員がしていると思うんですね。ただ、私が意識しているのは、オーディションの際に、私が好きなポイントをはっきり言うこと。演技力や歌唱力、ビジュアルなど私にないものを持っている受験者はたくさんいると思うんですね。でも、作品やキャラクターを誰よりも愛していることが少しでも伝わればいいなと思って臨んでいます。

ーーオーディション中に実際にこれはいけるとか手応えを感じたりすることはありますか?

本西彩希帆:
オーディションにはもちろん“受かりたい”という気持ちで行くのですが、オーディションで役をいただけた作品は、作品やキャラクターへの愛をきちんと語ることができたものが多いんです。審査の中で、演技などを何回も見せてとか言われたりして、“これはいけるかも”と手応えを感じることもありますが、大抵の場合は、面接の最後の自己PRで、作品やキャラクターへの愛を自然と語って、終わった時にスッキリした気持ちになると、実際に合格できていたりします。

ーー<薄桜鬼>はそれこそ自分の愛を語り尽くしたのですか?

本西彩希帆:
<薄桜鬼>は私がこの世界を志すきっかけになった作品なので、“薄桜鬼への愛を語りに来たんです”という気持ちで面接に臨みました。だから、オーディションが終わった時にマネージャーから連絡が来て、“全力で愛を語ってきました”と報告しましたね(笑)。

ーーほかの作品でも同じような気持ちで臨むことはできていますか?

本西彩希帆:
<ゾンビランドサガ>もアニメを観て大好きになった作品で、舞台化されると聞いた時、絶対に参加したいと思っていました。この作品もオーディションで私の愛が伝わったのかなと思ってます(笑)。だから、合格と聞くまでは本当に不安でした。好きだからこそ、好きという気持ちを貫き通して全力で話したことで、私の想いと今回の舞台で求められるものが違っていたらどうしようとか考えてしまって……。でも、実際に合格と聞いた時は、合ってたんだと自信が持てました。合格してからは、求められている役柄を全力でやっていこうという気持ちにすぐに切り替わりました。

ーー役作りなどで工夫していることや苦労したことはありますか?

本西彩希帆:
ミュージカル<薄桜鬼 風間千景篇>は初めての2.5次元で、緊張はしていましたが、何度も観ていた作品だったので、役作りとかに不安はなかったです。それでも、もともとこの作品に出ることが芸能界に入ろうというモチベーションになっていたので、いろいろな感情がありました。

ーー所属する劇団以外に参加する際には、緊張感などはありましたか?

本西彩希帆:
私以外の方は、過去に同じ舞台に出演されているので、先輩方に優しくしていただいて役柄同士の距離感とか感情を丁寧に教えてもらいました。なので緊張することもなく芝居につながっていったと思います。

本西彩希帆(劇団4ドル50セント)

ーー今作の<ゾンビランドサガ>では初演でありながら主演を務めますが、苦労はありますか?

本西彩希帆:
今回主演を務めることで、今までの座長のみなさんは本当にすごい方だったなと改めて思いました。これまで出演してきた舞台は、私がメンバーの中でだいたい1番年下とかだったので甘えていることが多かったなと。なので、今回の稽古に入る前に、尊敬する先輩たちに主演としての心構えや立ち振舞を相談したんですね。そうしたら、その先輩から“主演は2種類あって、1つはみんなに主演にしてもらうタイプ、もう1つは「背中を見せてついてこいよ」とするタイプなんだよ”と。その話をされた時に“私はまわりにしてもらう”タイプの主演なんだなって思えたんですね。だから、稽古場に行った時に、今まで通りで甘えるだけになってしまっては駄目だな、いい舞台をするためには時には厳しいことも言わないといけないとも思いました。そして、厳しいことを言うからには、自分はより高いレベルでいなきゃいけないという責任も感じました。なので、稽古が終わって家に帰る時は、ホントにヘトヘトでした。

ーー本西さんはそういったキャプテンシーがもともと強い方ではなかった?

本西彩希帆:
私は、3姉妹の末っ子で典型的な甘えん坊タイプなんですよ。だから、どうやったらついてきてもらえるかを考えたことで、役者として自分に1本の芯ができて、新しい感覚が生まれました。本当に今までは自分がよければ、あとはそれぞれ個人でどうにかすればいいという気持ちがあったのですが、座長になることで、自分だけが目立ってはいけないということに気づいたんです。私はアイドルが大好きで、元乃木坂46の生駒(里奈)さんが当時“真ん中に立つ人は周りを輝かせることができる人”と語っていたのを聞いたのですが、その意味がわかりました。私も自分が真ん中に立つことで、みんながよく見えるようにしなきゃと思いを気持ちを新たにしました。

ーーでも、いきなり考え方や行動を変えるのは大変だったのではないですか?

本西彩希帆:
慣れないことをやってて毎日大変でした(笑)。それでも日々の稽古で、少しずつ自分のキャパを広げていきました。前の日にできなかったことが次の日にできるようになって、成功体験をくり返すことで自分自身も舞台全体の雰囲気もどんどんといいものになっていると手応えを感じられました。だから、お客さんにこの努力したものが伝わればいいなと思ってます。

ーー周りに主演にしてもらうタイプということで、ほかのメンバーに主演にしてもらった実感はありますか?

本西彩希帆:
日々支えられているなと思うことがありました。私稽古に入って集中すると食べ物を取るのを忘れたりすることが多いのですが、メンバーたちが私の食事管理してくれるようになりました(笑)。2月の時から一緒にやってきて、お互いの癖もわかってきて、今回7人組のアイドルなのですが、このメンバーで本当によかったと思いました。

ーーこのチームワークが舞台の中ではどうやって発揮されるのですか?

本西彩希帆:
詳しくは言えないのですが、クライマックスに向けて感動的なシーンがあって、稽古の時に、そこで演者もスタッフも1つになっているという感覚があったんです。この作品は絶対に行けるという確信に変わりました。

ーー劇団結成から3年経ちましたが、改めて振り返ってみてどうですか?

本西彩希帆:
3年間で夢に見ていた<薄桜鬼>に出たり、主演作をいただけるなんて思ってもいませんでした。最初劇団の中でのオーディションでもメインキャストを取れるとも思ってなかったし、むしろ3年も続かないかなと思ってました。3年なんですが、はるか昔のように感じているし、今充実していると思いますが、未だに自信はまだまだないです。もっと芝居を磨かなくてはと毎日思っています。だから“求められる存在”になりたいです。どんなチャンスをいただいても、なにがいつ来てもいいように常に準備をしないといけないと思ってます。芝居も作品もキャラクターもすべて好きだからやっている。好きだから上達してもっといいものを提供したいという気持ちに変わるので、努力を努力と思わないようになるんです。好きなことってつらいと思わないじゃないですか。それが、私の根底にあるんだなと思います。だから、義務とか命令と感じないようにしないといけないなと思ってます。好きという気持ちを大事にしていきたいです。

ーー最後に女優としての今後の目標を教えてください。

本西彩希帆:
私にとっての聖地が日本青年館なんですね。<薄桜鬼>の舞台も日本青年館だったのですが、これを私の力で埋められるくらい魅力的な女優として成長していきたいです。そしてアニメとか漫画が大好きなので、声の仕事もいずれ挑戦してみたいと思っています。

本西彩希帆(劇団4ドル50セント)