山本彩[ライブレポート]堂々たるツアーファイナルで音楽シーンにエール!新曲「愛なんていらない」モスバーガーCMタイアップ決定も

山本彩[ライブレポート]堂々たるツアーファイナルで音楽シーンにエール!新曲「愛なんていらない」モスバーガーCMタイアップ決定も

Pop'n'Roll 編集部

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2020.08.31
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山本彩が、8月28日(金)に無観客有料配信による<山本彩 LIVE TOUR 2020〜 α 〜>のツアーファイナル公演を開催した。同ツアーは全国16都市20公演を予定していたが、新型コロナウイルスの影響で2月26日のNHKホールを最後に中止を余儀なくされたもの。本記事では、ファンからのライブに対する想いや山本彩の歌へのたくさんの熱い“声”に後押しされ、本人とコアスタッフでこのまま“音楽を止めていてはいけない”と話し合い、実施した同公演のオフィシャルレポートをお届けする。

撮影:半田安政

<山本彩 LIVE TOUR 2020〜 α 〜>ツアーファイナル(2020年8月28日)

グループ卒業後、ソロシンガーとして本格的に活動をスタートさせてから1年半あまり、山本彩は果たしてどんな“今”を見せてくれるのか。ツアー中止前最後のライブとなった2月26日から184日、久々のワンマンライブに期待が高まる。

開演予定時刻の18時30分を少しだけ過ぎたころ、暗転していたステージ上に大きなスクリーンが現れ、その上を白い光が流動的に動きながら、不規則な形状を形作っていく。すると、ステージ上方からひと筋の光が差し、スタンドマイクの前に立つ山本彩の姿が映し出された。オープニングナンバーは、「イチリンソウ」。力強い意志を感じさせる歌声がホールに響いていく。

「イチリンソウ」を歌い終えると、会場内に大きな歓声と拍手が巻き起こる。これは、彼女のファンクラブを通して事前に募っていたファンの声と拍手をライブ用に編集し、当日の会場で実際に流したもの。ライブ中は、この“ファンの声と拍手”が随所にインサートされることによって、視聴者に、そして山本彩を始めとするステージ上のメンバーに、ライブならではの臨場感や一体感が生まれていくことになった。

2曲目は、アコギをかき鳴らす山本が、ラウドなロックサウンドの中で激しい歌を聴かせる「棘」。続く「喝采」では、ドスを効かせた歌いっぷりで魅了する。息を切らしながらの短いMCを挟んで「unreachable」を披露したあとは、それまでの熱く激しい姿から一転し、「雪恋」ではしっとりと優しい歌を聴かせ、「君とフィルムカメラ」では軽やかに弾けるパフォーマンスを見せてくれた。

そこからさらなる変化を見せたのが、幻想的な映像とライティングで繋いだあと、「Homeward」から「feel the night」「stay free」と、メロウでグルーヴィーなナンバーが続いたセクションだ。特に「feel the night」と「stay free」では、しなやかでセクシーなダンスで魅せつつ、ラップも織り交ぜたステージを披露。「stay free」のパフォーマンス時には、スクリーンに映し出された複数の自身の白いシルエットのダンスと、見事にシンクロしてみせた。

そして、バンドメンバーがそれぞれの個性を生かした演奏を聴かせたあと、この日最初のクライマックスが訪れる。デニム地を基調にした衣装に着替えてステージに戻った山本が、おもむろに「サードマン」の一節をアカペラで歌い始めたのだ。その歌声に、静かに、そしてゆっくりと重なっていくピアノとバイオリンの音色。やがてすべてのパートが音を奏で始め、「サードマン」の世界は一層の熱を帯びて、山本彩のキャリア史上屈指の名バラードの最新形を完成させた。「サードマン」は、これまでのライブでもポイントになってきた、ファンからの支持も高い楽曲だが、この日は“君は君でいて 止まらなくていいんだ 君はそのまま”と歌われる歌詞が、図らずも新しい価値観を模索しなければならなくなった今の状況も相まって、これまで以上に胸に迫ってきたのだった。

<山本彩 LIVE TOUR 2020〜 α 〜>ツアーファイナル(2020年8月28日)

「サードマン」をしっかりと歌いきり、MCでファンへの想いを実直に語ったあとは、「追憶の光」「月影」「TRUE BLUE」「Weeeekend☆」「Let’s go crazy」「レインボーローズ」の6曲を立て続けに披露。ミディアムバラードから疾走感のあるロックチューン、軽快なポップナンバーまで、曲ごとに表情を変化させながら、彼女の音楽の大きな魅力の1つである多様性を存分に見せてくれた。

そして、この日3度目のMCに続く本編ラストソングは、“今あなたは笑えていますか”という歌い出しで幕を開け、“耐えることに慣れないでいて”、“想い合って赦されていく”、“愛を歌おう 生きとし生ける 全てのものと共に”と歌われるバラード「Larimar」。「サードマン」同様、今の状況を踏まえて書かれた歌ではまったくないのだが、世界中の人々が現在直面している問題への強いメッセージになったのは間違いない。

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